東洋医学の方が副作用が少なく、作用はおだやかであると一般には考えられているようです。十九世紀以来の進歩した化学工業が思いつきで次々に創出した新物質を薬として取り入れた西洋医学の場合と比べて、長年にわたり人間に用いて淘汰された物質を主として用いている東洋医学の方が安全だということは確かでしょう。しかし手当り次第に草根木皮を「試用」した段階を経ているわけですから、その間には犠牲者が出なかったわけはありませんし、昭和になってもトリカブトを含んだ大雄散を飲んで亡くなられた有名な本草学者さんの例もあることですから、異物性を全く心配しなくてもいいというわけのものではないでしょう。今日用いられている漢方薬にも西洋薬の場合ほど重大ではないにしても、しばしば副作用が見られ、たとえば街の薬局から厚生省へ報告された副作用の件数の一位を漢方薬が占めているのです(一九八〇−八一年)。